エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
とんでもない提案に、宏希さんが笑いを噛み殺している。
「なんだぁ。浅海さんも一緒がいいよね」
和宏はそう言いながら、自然と宏希さんの手を握る。
今までもこういうことはあったし、手をつなぐどころか抱きつくこともあった。
けれども、親子だとカミングアウトした直後のせいか胸が熱くなる。
「そうだなぁ。おそろい用意するか」
「ちょっ、なに言ってるんですか」
宏希さんに慌てて反論すると、彼はとうとう声をあげて笑い始めた。
遊び疲れた和宏は、その晩、また倒れるように眠りについた。
重大な話をした日だというのに、いつもと変わりなくてこちらが拍子抜けしているくらいだ。
「忍。これでよかったんだろうか」
寝かしつけてリビングに戻ると、ソファの宏希さんが私を隣に呼んでささやく。
「なにが?」
「俺……もっと責められる覚悟だった。どうして一緒にいなかったのかとか、忍ひとりを苦労させたのかとか……」
そんなふうに思っていたのか。