エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「お礼を言うのは俺だ。俺たちの大切な和宏を立派に育ててくれてありがとう」


もう一度重なりあった唇は、私の感涙を誘った。



その晩は、和宏と一緒に寝たいという宏希さんの提案で、私たちは部屋を入れ替わって眠りについた。

和宏は寝相が悪いので熟睡できないかもしれないと伝えても、「親子の絆を感じたいんだ」と優しい声で言うので、任せることにした。



翌朝、朝食の準備をしていると、バタバタと足音がして、勢いよくリビングのドアが開いた。


「ママ! 浅海さんが一緒に寝てくれた!」
「よかったわね」


どうやら目覚めたら隣に宏希さんがいて、びっくりして飛んできたとか。

私の足に抱きついて喜びを露わにする様子を見て、うれしくなる。


いつか『浅海さん』が『パパ』に変わる日が来るといいが、そこは焦らないでおこう。

そう心に決めた幸せな朝だった。
< 279 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop