エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「浅海さん、どうしたの?」
「さっきのふたりはね、ママのお父さんとお母さんなの。結婚して家族になりたいですとお話ししてるんだよ」
不穏な空気を感じ取っているのか、和宏の表情は硬い。
「浅海さん、怒られるの?」
床に正座したからだろうか。和宏が心配している。
「大丈――」
「どういうことだ! 忍はそんな苦労をしてきたというのか!」
安心させようとしたのに、父の大きな怒号が聞こえてきたせいで和宏が体を震わせてしがみついてきた。
「ごめん。大丈夫だからね」
どう説明したらいいのかわからず、ただギュッと抱きしめる。
しかし和宏は体をそらして私から逃れ、なんとリビングに向かって駆け出していく。
「和宏?」
リビングに飛び込んだ和宏は、首を垂れる宏希さんにすごい勢いで突進して抱きついた。
「浅海さんを怒っちゃ嫌だ。僕といっぱい遊んでくれるし、一緒にお風呂も入ってくれるんだよ。かっこいい靴も買ってくれるし、サッカーも教えてくれる」