エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「和宏……」
まさか和宏が宏希さんをかばうなんて。
「僕は浅海さんと家族になりたいよ。三人で、またお誕生日会したいの」
健気な和宏の姿を見て、涙を我慢することなんてできない。
私は頬の涙を拭ったあと宏希さんの隣まで行き、同じように正座をした。
泣いていても伝わらない。
私たちが真剣に愛しあった結果、和宏が産まれてきたことをわかってもらわなければ。
「宏希さんは、私とこの子をかばって事故に遭ったの。そして記憶をなくしてしまった。だから宏希さんがいなければ、私は今頃生きていなかったかもしれません」
「忍……」
母の悲痛な面持ちが視界に入り、胸が痛い。
「私は和宏を守りたくて、宏希さんの名前も出さずにひとりで産みました。そのことで、お父さんやお母さんに心配をかけて申し訳なかったと思っています」
深く頭を下げると、和宏を抱えた宏希さんも同じようにしている。