エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
高級住宅街の一角にある浅海家はとんでもなく大きくて、目が飛び出そうだった。
仕事のときと同じようにスリーピースのスーツをビシッと着こなし、背筋をピンと伸ばして颯爽と歩く宏希さんの姿は、いつ見ても堂々としていて頼もしい。
私がそんな彼の少しあとを続くと、五十代くらいの白髪交じりの女性が玄関で出迎えてくれた。
お手伝いさんだろう。
「宏希さん、いらっしゃいませ」
淡々とした口調は、歓迎しないという気持ちの表れなのか、もともとこういう人なのかわからなくて緊張が走るが、宏希さんが「ご無沙汰しています。お元気ですか?」と尋ねると、彼女の頬が緩んだ。
「はい。宏希さんもご立派になられて……。さあ、どうぞ」
どうやら彼女も緊張していただけらしく、ホッと安堵の胸を撫で下ろした。
お手伝いさんに促され、広い応接室に通された。
バーントアンバー――黒味がかかった濃い茶色の重厚なソファに緊張しながら座っていると、すぐにお父さまがやってきて私たちは立ち上がった。