エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「お時間をとっていただきありがとうございます」
「君まで来たのか」
宏希さんの挨拶のあと、私のことを一瞥して吐き捨てたお父さまは不機嫌顔だった。
しかし今日は話し合いに来たのだからと思い、「申し訳ございません」と素直に首を垂れる。
それからお母さまも顔を出した。
口元が宏希さんにそっくりで、肩下で切りそろえられた髪は艶がある。
奥ゆかしさが漂うような上品な女性だ。
お父さまとお母さまが向かいのソファに座ると、私たちも腰を下ろして話が始まる。
「お前はなにを考えているんだ。独立なんて言語道断。この人にそそのかされたんだろう?」
お父さまにあきれ顔で侮蔑の眼差しを送られたが、私はゆっくり呼吸をして心を整える。
「独立は私が言いだしたことです。なんでも彼女に責任を被せるのはやめていただきたい」
「まったくお前は。なにもわかっていない。それで、退社すると?」