エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
お父さまの声に怒気が混ざり、緊張が走る。
しかし、宏希さんは焦る素振りも見せない。
「実は彼女に反対されています。彼女は、私がどれだけレーブダッシュを大切に思っているかよく知っているからです」
思わぬ展開に、眼球がキョロッと動いてしまった。
お父さまは唖然として、私と宏希さんに交互に視線を送る。
「彼女は、私よりずっと冷静で強い女性です。そんな彼女と心を通わせられた私は、とんでもなく幸せ者だと思っています」
宏希さんの言葉がありがたすぎて、胸がいっぱいだ。
一緒にいられて幸せなのは、私のほうなのに。
「仕事の面でも、周りがよく見えていて判断力が抜群なので、営業統括部では新人のサポート役には欠かせません。もし私が会社を継ぐことになっても、必ずや支えてくれるでしょう」
彼が大げさに伝えていることはわかっているものの、気持ちが引き締まる。
「そんな人間は他にもいる」