エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
お父さまは、チラッとお母さまに視線を送る。
それを見た宏希さんはさらに続けた。
「忍は母さんに似ている。胸に熱い信念を秘め、いざとなったら強い。だからこそ、和宏は元気にすくすくと、そして優しい子に育ちました」
苦々しい顔をしているお父さまは、先ほどまでの勢いはどこにいったのか、反論してくることはない。
思うところがあるのだろうか。
「私の記憶がない間も、レーブダッシュを愛し続けてくれました。再会したとき、彼女はスポーツ用品店に勤めていて、和宏はレーブダッシュの靴を履いていました。私以上に、会社を愛してくれているんです」
宏希さんが言うほどの強さではなかったかもしれない。
でも、レーブダッシュのことを忘れたことはない。
彼のことを忘れられないという気持ちはもちろんあったが、部署の皆と必死に契約をもぎ取ったあの時間は、私の人生を彩り豊かにしてくれた。