エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
それからの私たちは順風満帆。
すぐに入籍して、晴れて家族になった。
結婚を許された直後、社長秘書の佐藤さんが私を訪ねてきたので身構えた。
けれども、思いがけず彼が「失礼なことを言ってすみませんでした」と頭を下げるので、一瞬頭が真っ白になった。
どうやら宏希さんが彼に、私への謝罪を要求したようだ。
「もう気にしていませんから」と伝えると、「波多野さんの強さを私も見習います」と言われて、さらにびっくり。
彼の発言に傷ついたこともあったけど、この先、よき秘書として社長を支えてくれると感じた。
宏希さんが結婚指輪をするようになって、営業統括部でも冷やかしが入る。
「新婚ボケの部長さん、書類決済溜まってますけど」
部に顔を出した宏希さんが、沖さんから嫌みをひと言食らっている。
「もう、沖の決済でいいだろ」
「一応、部長印がいるもので」
「だから、お前が部長をやればいい」
書類を手にしてさらっと口にした宏希さんを、部屋にいる皆が注目している。