エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
そのとき、ノックがして返事をする間もなく和宏が飛び込んできた。
「ママ! ふわふわだー。かわいいね」
「ありがとう」
ドレスのスカートに恐る恐る触れる彼は、私を見上げて満面の笑み。
「パパもすごくかっこいい」
えっ、今……パパって?
宏希さんも気づいて、目を丸くしている。
しかしすぐに笑顔になり、和宏を抱き上げた。
「ありがとう。和宏もかっこいいぞ」
うれしそうで、それでいて泣きそうな複雑な表情の宏希さんは、和宏を愛おしそうに抱きしめて頬ずりしている。
私はその様子を見て、こっそりと一粒涙を流した。
結婚式から一週間後の日曜日の午後。
私たちはサッカーの試合の観戦に三人で出かけることとなった。
今日は、宏希さんが記憶をなくす前に二人三脚でスポンサー契約をもぎ取ったチームの試合だ。
J2からJ1に昇進後大躍進中で現在も契約は続いており、レーブダッシュが手がけたユニフォームにはスポンサーとして社名が入っていて、かなりの宣伝効果を生んでいる。