エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
これは私も情報収集を手伝った、宏希さんが主導した商品だ。
スポンサーとなったJ1リーグに昇格したチームの選手にシューズの改善点を聞き出して、商品開発に制作を依頼。
その結果プロも唸る商品ができて、そのチームの半分近くの選手が愛用してくれている。
「かっこいいなー、これがいい!」
おねだりされたお母さんは「それじゃあこれにしましょう」と即決した。
「ありがとうございます」
レーブダッシュの、しかも宏希さんこだわりの商品がひとつ売れた喜びは、私を幸せにする。
「和宏にも買おうかな……」
爆発的ヒットを飛ばしてから、スパイクのついていないタイプも売り出し、小さいサイズもそろっている。
ただ、値段は高めだ。
「社割で五千円にはなるか」
決して裕福とは言いがたい生活で、すぐにサイズアウトする靴に五千円はきつい。
でも、宏希さんの魂のこもったこの靴を履かせてあげたい。
普段、パパがいなくて寂しい思いをさせているからなおさらだ。
私は十六センチの靴を、和宏のお土産にすることにした。