エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
日曜は空も晴れ渡り、和宏の手を引いて公園に向かった。
住宅街の中にあるここはさほど広くはないが、近所に公園が少ないからかいつも子供たちでいっぱいだ。
薄いピンクの花が散った桜は、若葉を芽吹き始めている。
それを見ていると、和宏の妊娠がわかったあの日のことを思い出す。
人生で最高に幸せな瞬間と、最悪の事態を味わったあの日を――。
「ママ、僕かっこいい?」
「うん、すごーくかっこいい!」
和宏はロイヤルブルーの新しいサッカーシューズを履き、小さなサッカーボールを懸命に蹴っている。
つい先日までは野球の選手になると言っていたんだけどな。
「ママ、へたくそだなぁ」
「あはは。ごめんごめん」
和宏とこうして遊ぶようになるまでは、サッカーなんてしたことがないのだから、時々ボールがおかしな方向に飛んでいく。
でもそれがおかしくて、私も和宏も笑い転げていた。
体力は消耗するがとても幸せな時間だ。