エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「そうですね。スポンサーがつくのは選手にとっても喜ばしいことでしょうし、会議で通るといいですね」
「うん。それにしても……また今回も悪かった」
彼は先ほどまで一緒にのぞき込んでいたファイルにチラリと目をやってから、申し訳なさそうな顔をする。
おそらく、この選手に絞るために私が集めたデータが五十人分以上あるからだと思う。
「地道に調査を重ねて才能ある選手を確実に引き当てる浅海さんのこと、尊敬しているんです。少しでもお役に立てるなら、こんなにうれしいことはありません」
それは本心だった。
時にはデータ収集に夢中になるあまり気がつけば終電間近だったなんてこともあったが、この仕事が好きだからまったく苦ではない。
「そう言ってもらえるとありがたい。けど、もっと波多野の仕事が評価されてもいいと思うんだ。契約選手が活躍しだしても、俺たち営業の手柄だと言われるだけ。実際は波多野の力が大きいのに」