エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「なに言ってるんですか。私はあくまでサポートです。もちろん、浅海さんのお手柄ですよ」
彼が褒めてくれるだけでもう十分だ。
「いや……。会議でもっと波多野の力をアピールするよ。まずは飯でも行かない? お礼におごるよ」
ハッと時計を見るともう二十時半。
彼との議論が白熱して、いつの間にか私たちふたりだけになっていた。
「おごっていただくなんてとんでもないです。でも、お腹は空きました」
「あはは。実は俺もペコペコ」
目尻を下げて笑う彼は、仕事中の鋭い目は鳴りを潜め、優しい表情をしていた。
その日、思いがけず「ずっと好きだった」と告白をされて、私たちは交際を始めた。
彼ほどの有能で眉目秀麗な人がどうして私なんて……と不思議だったが、「忍は自分の価値をわかっていない。他の男にかっさらわれないかひやひやだったんだぞ」と力説されて、納得できないながらにうなずいた。