エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
仕事だと線を引けるだろうか。
宏希さんではなく、私が。
それからしばらく黙って考えていた。
しかし、隣で眠る和宏が身じろぎしたとき、気持ちが決まった。
今日のように私の都合ばかり気にしておどおどし、我慢をして口を閉ざすようなことがないようにしてあげたい。
「よろしく、お願いします」
唐突に口を開いたせいか、宏希さんは目を丸くしている。
「よかった……。波多野さんのオムライス、楽しみにしてる」
「いえっ、もっとちゃんとしたものを作ります」
「いや。食事も和宏くんにあわせてくれていい。すごく優しい子に育ってるね。ママは僕のために頑張ってるのに怒っちゃったって何度も俺に訴えて……」
和宏がそんなことを?
罪悪感で胸が引き裂かれそうだ。
「けど、俺言ったんだ。ママは和宏くんのために頑張るのがうれしいんだよって。だから、なにも心配いらないって」
「浅海さん……」