エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

結婚を許されないことにショックを受けた私を、宏希さんは励まし続けた。

そして、「必ず忍と一緒になるから、離れないでくれ」ときっぱり言われ、私は彼を信じることにした。


しかし雪解けはいっこうにやってこず、宏希さんと両親の仲がうまくいかなくなってしまった。

それでも彼は「忍が大切なんだ。離したくない」と繰り返す。
私は彼に愛されている喜びで胸がいっぱいだった。

とはいえ、宏希さんが社長であるお父さまとの関係をこじらせてしまうのは、決していい状態だとは言えない。

宏希さんの仕事への情熱の傾け方は半端なく、レーブダッシュへの愛が伝わってくる。
それも、将来この会社を背負うという覚悟があるからだろう。

地味な努力をコツコツ積み重ね、レーブダッシュの売り上げを引っ張っている宏希さんのことは部長たちも認めていて、私との結婚で彼の成功を邪魔することは避けたかった。


「宏希さん、無理しないで」
「大丈夫だ。もう一度話すから待っててほしい」


キリリとした表情の彼は、仕事中と同じように鋭い目をしていた。
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