エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「波多野さんは……和宏くんを守ってくれたんだね」
「え……」
言葉に詰まる。
彼は、私が妊娠を隠して去ったことに間違いなく勘づいている。
「おかげで、あんなにかわいい子に会えた。ありがとう」
まだ彼の子だと認めたわけではないのに、瞳を潤ませる宏希さんを見ているとうなずきそうになる。
しかも、黙って和宏を産んだことを否定せず、喜んでくれているとわかって安堵した。
それから隣に座るように促され、緊張しながらもふたりで紅茶を楽しむことにした。
あの頃の日常が戻ってきたと錯覚してしまいそうで胸がいっぱいになる。
せっかくこんな時間を再び持てたのだから、笑顔で満喫しよう。
「はちみつ、なかなかいいね」
「はい。あれっ、これは……?」
ふと彼が手にしていた書類に目が行き、声が漏れる。
そこに載っていたのが、かつて私たちが契約を目論んだ競泳の選手だったからだ。