エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「それにその頃、水着の開発のためにたくさんの選手から情報を聞き出して、全部まとめてくれていたよね」
「はい」
「あの水着、ついにできたよ。次のオリンピックでたくさんの選手に使ってもらえるように手を打っているところだ」
自然と口元が緩む。
私たちの仕事は、他の営業部のようにすぐに売り上げがドカンと上がるものではなかった。
水面下で地道に交渉を続けたり情報収集をしたりして、何年後かにようやく花咲くような仕事ばかり。
その分、よい結果を聞けたときは飛び上がるほどうれしい。
「波多野さんと一緒に喜びたかったと、皆残念がっていたよ。なあ、もしかして親父に退職を迫られた?」
そこまで気づいているの?
宏希さんとお父さまとの関係をあまりこじらせてほしくなくてうなずかなかったのに、私の表情でそうだと確信したようだ。
彼は首を垂れる。
「ごめん。本当にひどいことを……」