エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「いいんです。営業統括部の皆さんの苦労が報われたなら、それで……」


もうそれで十分。

彼の眉間に深いシワが寄っているので、私は笑顔を作って答えた。


「波多野さんは、昔からそうだったんだろうね。自分の手柄も、全部営業のおかげだと笑っているような人だったって、沖が言ってた」


沖さんがそんなことを……?

照れくさくて、視線を紅茶に落として話を変える。


「取締役に就任されたと小耳に挟みましたけど、この仕事にも携わっているんですか?」

「営業統括部は我が社の要なんだ。今は専務と部長を兼任している」

「そうだったんですね」


彼は努力も才能も一流の人。
きっとこの先、レーブダッシュをけん引していくだろう。


「波多野さん、戻ってこない?」

「えっ?」

「まだ和宏くんが小さいから、今じゃなくてもいい。波多野さんがいなくなってから、皆『波多野さんに聞けばすぐにわかるのに』が口癖で、どれだけ存在が大きかったか気づいた」
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