リペイントオレンジ🍊
そんな私の曖昧な微笑みに、菅野さんが苦しげに顔を歪める。
そうか。
私が"好き"だと伝えたら、菅野さんにこんな顔をさせてしまうのか、と冷静に思う自分がいる。
「……しんおん、」
「なんですか」
「……やっぱなんでもねぇ、今日はもうこれ食って寝ろ」
"これ"と言いながら、1番手前にあったメロンパンを私に押し付ける。
こんなに気まずい空間でメロンパン食べるなんて、至難の業ですよ。
自分はコロッケパンの袋を開けてかじりつく菅野さんに、こんなに気まずい空間でも帰ろうとしないで、そばにいてくれるつもりらしいことにホッとしてる。
菅野さんにとって、私からの気持ちはきっと望まないものなんだろう。
「……菅野さん、」
「……あ?」
「ありがとうございます」
だからせめて、感謝の気持ちくらいは受け取って欲しい。
こう見えて、本当に感謝してるんですよ。
いつも、私のピンチを救ってくれて、本当に本当にありがとうございます。
「……あぁ」
メロンパンを一口かじれば、メロンの香りが鼻から抜けて口いっぱいに優しい甘さが広がっていく。
まるで、菅野さんを想う私の胸の中みたいだ。