リペイントオレンジ🍊
消えないあの日のオレンジ
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───無事に退院して、2週間。
今までと変わらない生活を送っているのも、菅野さんのおかげだ。
そんな菅野さんは先週、改めて消防署までお礼を伝えに言った私を"ムダに律儀なやつ"と意地悪な顔で笑った。
だけど、そんな意地悪な顔に……やっぱり好きだなぁなんて思ったりして。
「あれ?尾崎ちゃんじゃないか?」
「……あ、堀さん!こんばんは!」
───夜。
仕事終わりに近所のスーパーへ寄った私が遭遇したのは、消防署の署長……堀さん。
たった今考えていた菅野さんの紛れもない直属の上司だ。
「夜ご飯の買い出しかい?」
「はい。って言っても、まだ何にするか決まってないんですけど」
まだ何も入っていないカゴの中をチラリと見れば、同じく堀さんも私のカゴの中を見る。
「それならちょうど良かった!うちでこのまま一杯どうだい?今日はもう1人お客が来ることになってるんだ」
「え、でも……いいんですか?」
「うちのかみさんの作るご飯は日本一美味いからぜひ食べに来て」
惚気まじりに笑う堀さんが微笑ましくて、気づけば私も笑顔でコクリと頷いていた。