リペイントオレンジ🍊
「……ほら、帰るぞ」
「知らないくせに。私のことも、私の気持ちも、菅野さんは全然知らないくせに……ズルい」
簡単に私の心を乱せるのに、菅野さんの心には踏み込ませてはくれなくて。
私にとっては大事なことでも、菅野さんにとってはどうって事ないキスで。
"お子ちゃま"で片付けて、私の好意に気付いてるくせに気付かないふりして。
「……知ってるよ」
「え?」
「尾崎 心音。好きな食べ物はママが作ったオムライス」
「……え、」
「嫌いな食べ物はナス。好きな男の子の名前は、たくまくん……だろ?」
「そ、それ!!私が小さい頃に書いたプロフィール……!なんで、それを菅野さんが」
懐かしい記憶がバーッと蘇る。
……確か、あれは小学4年生の頃だった。
友達の間でプロフィール交換をするのが流行っていて……。
自分のお気に入りのプロフィール帳に友達のプロフィールを集めたり、友達に頼まれて自分のプロフィールを書いて渡したり。
……でも、どうして?
そんなこと、菅野さんが知ってるわけない。
いくら地元が同じでも、7つも離れてる菅野さんとは小学校もかぶってないはずだし。