リペイントオレンジ🍊

「あのころ好きだった、たくまくんのことは結局、中学が離れるまで思い続けて、卒業式でも告白できないまま。……大学の頃、同窓会で再会して、友達の協力もあって連絡先は交換したんですけど、連絡する勇気はでなくて。初恋は儚く散りました」


って、1番最初に報告する事じゃなかったかな。


「……それから、さとこ先生みたいに優しくて温かくて、子どもに寄り添ってくれる素敵な先生に憧れて、沢山勉強して、今年の春、晴れて小学校の先生になりました」

「…………」

「転任しちゃったあとも、さとこ先生のこと忘れられなくて。さとこ先生と過ごした時間が幸せで、楽しくて、思い出すたび温かくて。……思えば短い時間だったはずなのに、私の中でいつの間にかとても大きな存在になっていました。……今もそうです」


さとこ先生からもらった優しさ。
言葉、ぬくもり、感情、夢。


全部、全部、宝物です。


もっと沢山学びたかったです。
もっと沢山お話したかったです。
もっと沢山生きて欲しかったです。


───それに、


「さとこ先生のおかげで、大事な人に出逢いました。……不器用だし、口は悪いし、愛想の欠片もないし、滅多に笑ってくれないし、全然振り向いてくれないけど」

「……おい、誰が愛想の欠片もないんだよ」
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