リペイントオレンジ🍊
第一章
顔も知らないのに嫌いです
小学校の頃。
私には、大大大好きな先生がいた。
1年生、2年生と担任を務めて、3年生を前にして、他所の学校への異動が決まってしまった、さとこ先生。
違う学校に行ってしまってからも、しばらくは文通をしていたくらい、本当に尊敬していて、大好きだった。
【みおちゃんへ
お元気ですか?
クラスのみんなも元気にしていますか?
先生は今年から、みおちゃんが住む町の隣町にある小さな小学校でみおちゃんたちと同じ、4年生の担任をしています。
先生の記憶の中のみおちゃんは、2年生の頃のままだけれど、4年生のみおちゃんはあの頃よりもずっと、お姉さんになっているんだろうな。
離れていても、こうしてみおちゃんが送ってくれる手紙が、先生はいつも嬉しいです。
今度、みおちゃんの学校の運動会があるね!
先生の学校と運動会が重ならなかったので、応援に行こうと思っています。
大きくなったみおちゃんに会えるのが楽しみ。
さとこ先生より】
「……さとこ先生」
手元の手紙を見つめながら、まだ小学生だった頃を思い出す。
引っ込み思案だった私を、いつも優しく明るくみんなの前に連れ出してくれたのはさとこ先生だったな。
別れ際、泣きじゃくる私に、”お手紙書くよ”と優しく笑ってくれたさとこ先生を今でも鮮明に覚えている。