リペイントオレンジ🍊


他の先生方は、菅野さんと榊先生が話し始めたのを横目に特に気にする素振りもなく席へと戻っていく。


「可愛いでしょ、尾崎ちゃん」

「お前の趣味は昔から理解し難い」

「え……おふたり、知り合いなんですか?」


菅野さんの塩対応に全くめげる気配のない榊先生は、余裕綽々と笑っている。


「小学校からの腐れ縁なんだ。中高も一緒で、地元に残ってる数少ない……親友?」

「じゃない」

「ほんっと、相変わらずツレないねぇ」



小学校から一緒の榊先生にすらこの冷たさ。
只者じゃないとは思っていたけれど、人としての心があるのか疑うレベルだわ。

例えるならば……鬼。
牙が生えた超怖いやつ。


”ハハッ”と楽しそうに笑う榊先生は、天使に近いのに。


とはいえ、2人とも驚くほどの美形。
絵面としては最高。

なに?この学年はイケメンが豊作だったの?
こんなのクラスに2人もいたら授業中、眼福すぎる。


「堀さんに言われて仕方なく担当したが、俺だって暇じゃねぇ。早いとこ終わらせて帰る」

「おー、怖っ」

「それから、しんおん!」

「し、しんおんじゃなくて、みおですってば!」

「今日の報告書のコピー、あとで消防署までもってこい。一応、こっちでも保管することになってる」

「……はい」


さっきはちゃんと”尾崎先生”って言ってたくせに、わざと”しんおん”呼びしてくる辺り……本当に、憎い。
< 25 / 133 >

この作品をシェア

pagetop