リペイントオレンジ🍊
……ほんと、感じ悪いんだから。
後をついていくつもりはなくても、進行方向が同じなせいで必然的に私が追いかけてるみたいな形で歩けば、突然賑わっている個室のドアがガラッと開いて、中から見覚えのある中年男性が……
「あれ?あんた、確か……」
「堀さん……?」
「あー!そうそう!思い出した!避難訓練を頼みに来た小学校の先生だ!」
軽く酔いが回っているらしい堀さんは、私に歩み寄るとポンポンと背中を叩いて、それからすぐそばにいた菅野さんと私を交互に見る。
「……なんだよ、お前。そういうこと?いつの間に」
「おっさん、酔い過ぎだ」
「なるほど、避難訓練は新しい恋を運んできたか〜!いいじゃねぇの、菅野!思いのまま前に進め〜」
ハハハッと笑いながら菅野さんの肩に腕を回す堀さんは、どうやら軽くではなく、酷く酔っているらしい。
「前に進むって……菅野さん失恋でもしたんですか?」
素朴な疑問を素直にぶつければ、ギロりと睨まれて一瞬で蛇に睨まれた蛙状態。
「尾崎ちゃん、こいつね〜色々と複雑な男なんだよ〜!でもね、俺が保証する。こいつはいい男だよ。だから、何があっても……支えてやってくれな」