リペイントオレンジ🍊
気づいた時には、完全に出来上がっていた。
冷静な自分も確かにいるのに、それを跳ね除けて、酔っ払いの私が体と脳の大半を操っている。
「送っていくよ」と言ってくれた榊先生に、「飲ませすぎたのは私だから、責任もって菅野に送らせるよ」って、堀さんが提案してくれて……
菅野さんは、心底嫌そうな顔でため息ついたっけ。
「おい!どっちだ?」
「……あれぇ?ここ、どこですか?」
「はぁ?」
「あれぇ、もしかして菅野しゃん、迷子?」
「……お前なぁ」
確かに、道案内をしていたのは私で、ちゃんと家の場所を伝えていたはずなのに。
目の前には見覚えのない道。
そして、背中越しでも分かる呆れた様子の菅野さん。
そして、こんな時だってのに段々と、薄れていく意識……。あぁ……ダメだ、完全に眠くなって来ちゃった。
「菅野しゃん、眠い……」
「はぁ?今寝んなよ!?」
「……ん〜、分かってますよ〜……だい、じょ……ぶ」
ほんの少し、目をつぶるだけ。
寝たりなんかしませんから───。