リペイントオレンジ🍊
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───8時5分。
いつもなら優雅にお茶でもすすっている時間なのに。
「木村先生!メイク道具貸してもらえませんか……」
向かい風の中をひた走り、職員室のドアを開けた時にはもう、先生たちはみんな席について仕事をしていた。
「い、いいけど。尾崎先生がこんな時間に来るなんて……珍しい」
ジィッと私の顔を覗き込んで、ニヤリと怪しい笑みを浮かべる木村先生に、ゾクリと背筋が凍る。
こ、これは……どういう状況?
「……貸してあげる代わりに、尾崎先生。質問には素直に答えて下さいね?」
「し、質問ですか……」
ふふ、と笑いを漏らしながらジリジリと木村先生が詰め寄ってくる。
「昨日、どうでした?♡」
「……え、」
「あ、でも。寝坊するくらい盛り上がっちゃったってことは……この質問は野暮だったか」
「寝坊するくらい……盛り上がる、とは」
「まったまた〜!惚けたってダメよ?昨日、菅野さんにお持ち帰りされたくせに♡」
「私はまた収穫ゼロだったけどー」なんて残念そうな木村先生。
お持ち帰り……っていうのは、あの。
いや、さすがの私でも意味は分かるんだ。
ただ、昨日のあれを”お持ち帰り”と言うのかと言われれば話は別で。