リペイントオレンジ🍊


榊先生が、私と菅野さんのことを気にして眠れないなんて……そんなの、有り得ないでしょ〜!

って、頭ではよく理解しているのに。


いざ目の前の榊先生に見つめられると、いや……もしかして、もしかする?なんて変な勘ぐりを入れてしまいそうになる。


「も、もう〜榊先生ってば……」

「よーし、みんな揃ったか?職員会議始めるぞ」



咄嗟に榊先生の名前を呼んで、「冗談ばっかり」と笑い飛ばしてしまうつもりだった私は、職員室にとどろく教頭先生の声に慌てて背を正した。


「やば、もう職員会議の時間?教頭先生が怒り出す前に行きましょ」


いち早く向きを変えて、職員会議が行われるソファへと急ぐ木村先生。そんな木村先生に、榊先生と顔を見合わせて笑ってしまう。


「……じゃ続きは、また後で。あと」

「え?」

「今日はそれでいてよ」

「それ?……それ、って?」



言われていることの意味が分からず首を傾げる。そんな私の頬を人差し指でツンツンとつつく榊先生。


「な、っ……何ですか」

「スッピンも可愛いなぁと思って」



……っ!!!


そうだ。木村先生にメイク道具を借りる交渉中だったせいで、まだスッピンなんだっけ。
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