リペイントオレンジ🍊
第二章

失敗続きで嫌になります



***


なんで、こんなことになってしまったんだろう。
……と言うより、私って本当に……


「馬鹿!」



ですよね。
もう、今回ばかりは認めざるを得ないかと。


菅野さんから会議資料を受け取って、家に帰った私は、とんでもない事に気付いてしまった。

カバンの中に入っているはずのそれ。


カバンの中を漁り、内ポケットを引っくり返し、外ポケットに頭を突っ込む勢いで覗き込んだけれど、やっぱり、どこにもなかったそれ。


「ごめんなさいぃぃ〜!!」



きっと、絶対、間違いなく。
───菅野さんのマンションにある、それ。


「他人の家に、自分家の鍵忘れる馬鹿は見たことねぇよ」



鍵───。

そう、私は恐らく菅野さんのマンションに、鍵も落としてきたらしい。


せっかく自分の部屋の前まで着いたって言うのに、鍵を開けられず……再び消防署まで戻ってきたというわけだ。


おまけに、菅野さんの電話番号を知らない私は、仕方なく消防署の中に。


私を見つけた瞬間、菅野さんがこの世のものとは思えない顔で私を見るもんだから割と本気でおしっこチビるかと思った。
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