リペイントオレンジ🍊
「取ったらさっさと帰れよ。鍵はポストに入れとけ」

「い、いいんですか?」

「は?そのつもりで来たんだろ?ダメだっつったら野宿すんのか?」

「……いえ。あの、ありがとうございます!」


結局、私が菅野さんの家に行ったことがあるというのはここにいるみんなに知られてしまった。

幸い、私が泥酔して泊めてもらったということは知られていないけど。この際、知られてしまった方が変に勘ぐられずに済むような気もする。


とは言え、だ。

泥酔している女と、大人の男。
今度は、私たちの間に何も無かったと、身の潔白を主張するには少し無謀なシチュエーションすぎて……。


あぁ、頭が痛い。
胸が苦しい。


「さっさと帰れ。……お前のせいで完全にアイツらの勘違いに巻き込まれる」


だるい。
菅野さんの全身から、そんなオーラが滲み出ている。……いや、もうそれは本当に申し訳ないと思ってるんです。

でも、菅野さんと誤解されるなんて、私にとってもとんだ災難なんですからね。

そこは、ちゃんと理解してくれないと。
どうせならもっと紳士と勘違いされたかった。


……って、こんなこと言ったら今度こそ目力で殺られそうだから黙っておこう。
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