リペイントオレンジ🍊
『とにかく、明日行こう』
「だから……」
『もう、気にしてないんでしょ?なら、他に行かない理由はなに?』
「……そ、それは」
本当は、少しだけ引きずっている。
私は拓也の事が本当に本当に大好きだったし、遠距離になったって、へっちゃらだと思ってた。
それは、拓也も同じだって信じてたのに。
都会に出た拓也は、変わってしまった。
あの時の私のショックは、言葉では到底言い表せなくて……。
でも、そうだよね。
高校卒業してから、もう5年。
いつまでも引きずってるわけにはいかない。
『ま、行きたくないなら無理にとは言わないけどさ〜』
「……行くよ」
『本当に?やったー!じゃあ、明日は朝まで飲もうね〜!土曜は先生もお休みでしょ?』
「うん。部活の顧問はしてないし、急ぎの仕事もないから」
『じゃあ決まりね!心音に会うのも3ヶ月ぶりくらい?みんな元気かな?あー、久しぶりだから楽しみ〜』
「そうだね」
新しい優しくてイケメンで、私のことが好きで好きで仕方ない彼氏でも出来てたら、もっと良かったけど。
そこはこの際、諦めるしかない。
夢だった教師になったことを誇りに、例え再会しても堂々と胸を張ろう。