リペイントオレンジ🍊


***


「心音、もうやめといた方がいい」

「えー?らいじょーぶ」

「呂律回ってないし、全然大丈夫じゃねーから」


───2時間後。

どうして私はこうなんだろう。
飲みすぎたら自分がどうなるかなんて、自分が1番分かっているのに、お酒のペース配分ができない。


加えて、今日は隣に拓也がいたことが私に予想以上の心労を与えたらしい。


嫌なことがあったとき、飲んで忘れるタイプ。
って、……女の子として最悪じゃん。


口を開けば酔っぱらい。
だけど、心の中には、そんな自分を客観的に見ているもう1人の自分がいる。


「心音、送る。もう今日は帰った方がいい」

「ハハッ、拓也は相変わらず、やさしーね」

「……誰にでも優しくするわけじゃ」

「やめて」



そういう言葉、求めてない。

私がどれだけ拓也を好きで、どれだけ信じてたのか、拓也は知らないんだよ。


だから、簡単に

───"俺たち、別れよう"


私にサヨナラ出来たんだ。


私を残して1人で都会に出て、都会の暮らしに慣れて、馴染んで、この街のことも私と過ごした記憶も薄れていったんだ。
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