リペイントオレンジ🍊
「おい!みお!」
教室を出た私を廊下までバタバタと追いかけてくる足音と共に、教師である私を下の名前で呼び捨てにするこの上なく上から目線の、だけどまだまだ幼い声が響く。
「なぁに?蒼介(そうすけ)くん」
と、言ってももう驚きはない。
「今日こそ、俺と付き合え!」
「まーだそんなこと言ってる。そんなに蒼介くんから見て先生って可愛い?嬉しいなぁ〜」
「じゃあ、付き合え!」
「でも、蒼介くんには先生なんかよりずーっとお似合いの子が沢山いると思うよ?」
「例えば?」
「ん〜、そうだなぁ。クラスにだって可愛い女の子は沢山いるし、蒼介くんと歳も近くて、先生なんかよりお似合いだなって思うけど……」
こんなやり取りも、もう何度目だろう。
蒼介くんは、私が担任になってからもう幾度となく私に告白してくれる可愛い男の子で。
だけど、「はいはい、ありがとう」とスルーしても、「ごめん、それは出来ないな」と、バッサリ断ってみても、今回みたいに遠回しに断ってみても……。
蒼介くんは、諦めてくれる気配がない。