リペイントオレンジ🍊
「……みお、やだ!!俺、」
「早く、お願い。……先生に、守らせて」
初めて持ったクラス。
初めての生徒。
初めて慕ってくれた蒼介くん。
大事なんだよ。
蒼介くんがもし死ぬような事があれば、先生は自分が教師であることを恥じる。
「……っ、絶対……!助け呼んでくるっ!」
私の手を離れて、震える足で歩き出した蒼介くんは今、どんなに怖いだろう。どんなに、苦しいだろう。
「ごめんね……蒼介くんっ、ゲホッ、ゲホッ……っ、」
苦しい……。
どんどん、酸素が足りなくなっていく。
ぼやける視界は、もう何も映さない。
黒い煙と、遠くに見えるオレンジの炎。
ゆらゆら揺れるそれを見つめながら、頬をツーッと涙が零れていく。
……これは、なんの涙だろう。
あぁ、こんなことならもっとちゃんと、青春するんだった。いつまでも拓也に縛られたりしてないで、どんどん新しい恋をしたりしてさ……
デートに何着て行こう?って迷ったり、好きな人からの返信にときめいたり、偶然会えただけで嬉しくて……切なくなったり、それから……
「……菅野さん、助けてっ」