リペイントオレンジ🍊
第三章
もっと知りたくなります
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目が覚めたとき、私はベットの上にいた。
頭はボーッとしていて、身体のあちこちが痛い。
なにがどうなったのか、まったく思い出せないけれど、私を深い眠りへ誘うネロリの匂いがすぐ側にあった気がした。
「……病院、」
「よかった。目が覚めて……」
私に付き添ってくれていたらしい榊先生が、パイプ椅子から立ち上がって心配そうに私を見下ろす。
「……榊先生。あの、蒼介くんは」
「自分のことよりまず蒼介のことって……本当に、尾崎ちゃんには敵わないな。蒼介なら、無事に避難したよ。念の為、色々と検査したけど、ケガもしてない。蒼介のおかげで、尾崎ちゃんのいる場所も分かって救助が遅れずに済んだんだ」
"尾崎ちゃんは無茶しすぎ"
そう言って、困り顔で笑う榊先生に私も小さく笑い返す。
……蒼介くんが無事でよかった。
自分が入院してるっていうのに、そんなのどうでもいいと思えるくらい、蒼介くんが無事だったことがただひたすら嬉しい。
「少し前まで、アイツもいたんだけど……仕事に戻ったかな」
「……アイツ?」
「尊のやつ、かっこよかったよ。ヒーローみたいに尾崎ちゃんのこと抱き上げて出てきた」