リペイントオレンジ🍊
「……夢じゃ、ないんだ」
「え?」
「あ、いえ……なんでも」
「背中を強く打ったみたいで、骨に異常はないけど、暫くは痛むだろうって。あと、煙の吸いすぎで気を失ったみたいだけど、すぐに病院に運ばれたから大事には至らなかったって先生から説明受けたよ。念のため数日入院して様子を見ることになったから……ゆっくり休んで」
ずっと付いててくれたのかな。
……何だか、申し訳ない。
「ありがとうございます。すみません、遅くまで付き添っていただいて」
「……ううん。俺がそうしたかっただけだから」
「え?」
「生徒たちのことは俺に任せてよ。多目的ホールでも使って2クラス合同授業でもしとくから」
冗談っぽく笑って見せる榊先生に、榊先生なら本当にやりかねないなって思ったら、つい堪えきれず笑ってしまった。
「……頼りになります、先輩」
「男に生まれたからには、頼られてこそ生きがいを感じるってもんだよ」
「ふふっ、なんですかそれ」
「よかった。笑えるくらい元気になって。……ずっと付き添いたい気持ちは山々なんだけど、さすがにここから出勤出来ないから今日のところは帰るよ」