リペイントオレンジ🍊


「どれにする?」

「……ど、どれって」

「寝てたから晩飯食い損ねただろ。好きなの食え」

「わ、わざわざ買いに行ってくれたんですか?」


甘い菓子パンから、惣菜パンまで。
種類豊富なラインナップに、つい頬が緩む。

菅野さんの優しさって、いつも不器用で分かりにくいのに、誰よりも私の心を温かくしてくれる。


「違う。俺が食うために買ってきたけど、仕方ねーから分けてやるって言ってんだよ」

「1人でこーんなに沢山食べられないでしょうし、食べるの手伝ってあげます」

「……生意気いうんじゃねぇ」


ムッとした菅野さんに、クスッと笑えばますます眉間のシワが濃くなるのを感じて慌てて口元を隠した。


「今日、仕事はもう終わりですか?」

「あぁ。明日は夕方からだから、昼には1度マンションに戻る」

「……え?」

「は?なんだよ」

「今日は……」

「ここに居て欲しいって顔に書いてあんだよ」


───っ!!


い、いつの間にそんなことを顔に書いていたんだろう、私は。……確かに、1人じゃ時間が経つのが遅く感じて、このまま朝が来ないんじゃないかって、不安になりそうだったけど。
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