リペイントオレンジ🍊


口にしてからハッとする。
この気持ちを、声に出すつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。

ましてや、菅野さんを前にしてどんな顔したらいいのか……


「なんだ、寝言か?」

「えっ、」

「……寝言なら忘れてやる」

「っ、」


私から目を逸らすことなく呟いた菅野さんの言葉が静かな空間でやけに響いた。

「寝言か?」なんて語尾にはてなマークを付けておきながら、それはもはや「寝言だって言え」って言われたも同然で。


今、私の"好き"って感情を、やんわりと……だけど強い意志を持って拒絶されたんだと理解するまで、そう時間はかからなかった。


「好きです」

「…………」

「だけとそれは、もちろんほら……人として!って、意味で……っ、だから」

「……だから?」

「だから……やっぱなしで。寝言です、寝言でした」



"好き"

その言葉を誤魔化したくなかった。
だけど、"人として好き"も、"男として好き"も、結局は菅野さんを好いていることに変わりなくて。


……菅野さんに、また拒絶されたらと思うと、これ以上言葉を続けることができなかった。
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