側にいて
あの日からまた滴は涙の元に来なくなった。
涙も今日は朝から39度の熱を出していて正直
それどころじゃないくらいに体調が悪い。
「涙。」
和泉が涙に声をかけた。
和泉は今、お昼休みだからと言ってコンビニ弁当
を持参してベッドサイドの椅子に座っていた。
涙は朝食も昼食も食べる気にならずベッドに沈ん
でいた。
閉じていた目を開けて和泉を見上げると。
「最近、滴来てないらしいな。」
「前、忙しそうだった。」
「そうか。鸞鬼が出てきてるらしいしな。」
「らんき?」
呂律が回らないくちを動かして聞く。
「ああ、No,4の族。あいつら良くない噂が出回っ
ててな。」
「うわさ?」
「やることが卑怯らしいからな。滴らも気を付け
てるだろうけど。」
「お姫さまは?」
「あ、そんなんが出来たとかいってたな。漸く
滴にも春が来たと喜んでたところだか...」
「ねえ、いずみ。」
「んあ?」
「なんか、いやなよかんする。」
「マジかよ」
「ん....むなさわぎ.....滴」
そう呟く涙に和泉も胸騒ぎがしてきた。
「滴に後で連絡入れとくか。」
そう言った和泉に涙は頷いた。