側にいて
涙はあまりにも息が苦しくて目が覚めた。
「ん、...ケホッコホッコホッ」
喘息の発作が出てきて出来るだけ深呼吸しようと
するがうまくいかなくて。
「ヒューッゲホッコホッコホッ」
本格的な発作になって涙は手探りでナースコール
を押した。
『はい。どうされましたか?』
そんな声にも返事出来なくて。
しばらくするとバタバタと足音がしてきて
すごい勢いで病室のドアがあいた。
「涙ちゃん!」
智くんの声が聞こえてきた。
「るーいーちゃん、俺の声聞こえたら手握ってく
れる?」
涙の手を握りながら聞いてくるので涙はその手を
握り返した。
「ん、涙ちゃん大丈夫だよー。今薬入れるから
もうちょっと頑張ろ。」
酸素マスクを着けながらそう言ってパジャマの中
に聴診器を滑り込ませる。
「ッ!、モニター着けて!!」
智也は慌てて言った。
不整脈も出てきているのだ。
心電図を取り付けてモニターを見るとやっぱり
脈も乱れていて不整脈も出ている。
「涙ちゃん、大丈夫だからね!意識は頑張って保
って!」
それから30分後、ようやく発作が治まった。
ぐったりとしてからだの力を抜く涙の頭をゆっく
りと撫でて額に汗で張り付いた前髪を掬った。
「ん、頑張ったね。もう眠って大丈夫だよ。」
その声を最後に涙はゆっくりと意識を手放した。