高校生だけど妹なら二人暮らししても何の問題も無いよな!?
第1話 こうして二人は
「な、なあ」
「なに?」
「あのだなぁ……、やっぱり俺、そういうのは普通に考えてやめたほうが良いと思うんだ」
「常識なんて知らない!私はお兄ちゃんと一緒に暮らすんだもん!」
「暮らすんだもんって…。お前ももう今年からは高校生なんだから、少しは兄にウザいとか、キモいとか、そういう感情を持っても良いと思うぞ?」
「ど、どうして……?」
「どうしてって……普通はそうだから、だよ……」
「普通普通って、さっきからお兄ちゃんはそればっかり!普通って何!だいたい、そんなこと言ったら私たちの家族は普通じゃないじゃん!お父さんもお母さんもいないじゃん!おじいちゃんとおばあちゃんに育ててもらうのが普通なの?違うよね!」
「それはそうだけど……」
俺は今、俗に言う『兄妹喧嘩』というものを生まれて初めてしている。
喧嘩するほど仲がいい、なんて言ったりもするから、俺は妹と仲が良いのかよく分からない。
普通の家庭の兄妹なら喧嘩なんか日常茶飯事なのだと思うが、俺たちはこれまで一度たりとも言い合いにすらなったことがなかった。
まぁ、あんなことがあれば喧嘩なんて起こらないか………。
俺が七歳の時、 母さんは病気で亡くなった。
『なあ和真、明日からは、じいちゃんとばあちゃんの家で暮らさないか?』
病院から帰る時に父さんは俺に言った。
父さんは残りの人生を、亡くなった母さんと二人きりで過ごしたいんだ、俺は幼いながらにも父さんの気持ちを悟った。
次の日から俺は、じいちゃんとばあちゃんの家にお世話になることになった。
そしてその日、妹と……星華と出会った。
ばあちゃんから聞いた話によると、星華は父さんの弟の奥さんの連れ子で、両親を事故で失った時にばあちゃんが引き取ったという。
年は俺の一つ下で、当時六歳。ばあちゃんの家に来たのは、俺が来る三ヶ月前らしい。
俺も星華も年が近かったから新しい関係にすぐに慣れた。
じいちゃんとばあちゃんに迷惑がかかるようなことはしたくない、だから俺も星華も喧嘩が起こるようなことはせず、ずっと仲良く暮らした。
それから数年が経ち、今年から俺は高校二年、星華は高校一年ともう良いお年頃。
俺はアルバイトもしているし、ずっとじいちゃんたちの世話になりっぱなしっていうのも申し訳無いから、そろそろ独り暮らしを始めようと思ったのだ。
そして、さっきその話を星華にした途端、私も付いていくと言い出したことで兄妹初の口喧嘩が勃発したのである。
「私、お兄ちゃんと同じ学校に進学決まったの。どうせ同じ学校に行くなら、同じ家に住んでても問題無いよね!お兄ちゃんの引越し先のほうが学校から近いし、電車賃も浮くじゃん!おばあちゃんたちの負担も減らせるよ!」
「いやいや、色々と問題だと思うんだけど……」
俺の引越し先は学校近くのマンションの一室。確かに電車賃は節約できるし、ばあちゃんたちの負担も減る。
俺たちが本当の兄妹なら、俺もそうしたほうがばあちゃんたちに楽させてあげることができて良いと思う。
本当の兄妹なら………ん、本当の兄妹……。
「いや、ちょっと待った…」
俺たちが本当の兄妹のようにできれば何の問題もないんじゃないか?
そうだ、俺が星華を妹として見続けることができれば問題ないじゃないか。
「星華、俺たちはただの兄妹だよな?」
「うん、兄妹だよ?」
「そ、そうだよな」
ただと自己暗示かもしれないが、これで何も問題は無い。星華は妹、随分と簡単なことだった。
星華もきっと、早くばあちゃんたちに楽をさせてあげようとしての行動なんだろう。
それなら大丈夫、何も問題ない。
「じゃあ、星華も一緒に来るか」
「うん!」
「なに?」
「あのだなぁ……、やっぱり俺、そういうのは普通に考えてやめたほうが良いと思うんだ」
「常識なんて知らない!私はお兄ちゃんと一緒に暮らすんだもん!」
「暮らすんだもんって…。お前ももう今年からは高校生なんだから、少しは兄にウザいとか、キモいとか、そういう感情を持っても良いと思うぞ?」
「ど、どうして……?」
「どうしてって……普通はそうだから、だよ……」
「普通普通って、さっきからお兄ちゃんはそればっかり!普通って何!だいたい、そんなこと言ったら私たちの家族は普通じゃないじゃん!お父さんもお母さんもいないじゃん!おじいちゃんとおばあちゃんに育ててもらうのが普通なの?違うよね!」
「それはそうだけど……」
俺は今、俗に言う『兄妹喧嘩』というものを生まれて初めてしている。
喧嘩するほど仲がいい、なんて言ったりもするから、俺は妹と仲が良いのかよく分からない。
普通の家庭の兄妹なら喧嘩なんか日常茶飯事なのだと思うが、俺たちはこれまで一度たりとも言い合いにすらなったことがなかった。
まぁ、あんなことがあれば喧嘩なんて起こらないか………。
俺が七歳の時、 母さんは病気で亡くなった。
『なあ和真、明日からは、じいちゃんとばあちゃんの家で暮らさないか?』
病院から帰る時に父さんは俺に言った。
父さんは残りの人生を、亡くなった母さんと二人きりで過ごしたいんだ、俺は幼いながらにも父さんの気持ちを悟った。
次の日から俺は、じいちゃんとばあちゃんの家にお世話になることになった。
そしてその日、妹と……星華と出会った。
ばあちゃんから聞いた話によると、星華は父さんの弟の奥さんの連れ子で、両親を事故で失った時にばあちゃんが引き取ったという。
年は俺の一つ下で、当時六歳。ばあちゃんの家に来たのは、俺が来る三ヶ月前らしい。
俺も星華も年が近かったから新しい関係にすぐに慣れた。
じいちゃんとばあちゃんに迷惑がかかるようなことはしたくない、だから俺も星華も喧嘩が起こるようなことはせず、ずっと仲良く暮らした。
それから数年が経ち、今年から俺は高校二年、星華は高校一年ともう良いお年頃。
俺はアルバイトもしているし、ずっとじいちゃんたちの世話になりっぱなしっていうのも申し訳無いから、そろそろ独り暮らしを始めようと思ったのだ。
そして、さっきその話を星華にした途端、私も付いていくと言い出したことで兄妹初の口喧嘩が勃発したのである。
「私、お兄ちゃんと同じ学校に進学決まったの。どうせ同じ学校に行くなら、同じ家に住んでても問題無いよね!お兄ちゃんの引越し先のほうが学校から近いし、電車賃も浮くじゃん!おばあちゃんたちの負担も減らせるよ!」
「いやいや、色々と問題だと思うんだけど……」
俺の引越し先は学校近くのマンションの一室。確かに電車賃は節約できるし、ばあちゃんたちの負担も減る。
俺たちが本当の兄妹なら、俺もそうしたほうがばあちゃんたちに楽させてあげることができて良いと思う。
本当の兄妹なら………ん、本当の兄妹……。
「いや、ちょっと待った…」
俺たちが本当の兄妹のようにできれば何の問題もないんじゃないか?
そうだ、俺が星華を妹として見続けることができれば問題ないじゃないか。
「星華、俺たちはただの兄妹だよな?」
「うん、兄妹だよ?」
「そ、そうだよな」
ただと自己暗示かもしれないが、これで何も問題は無い。星華は妹、随分と簡単なことだった。
星華もきっと、早くばあちゃんたちに楽をさせてあげようとしての行動なんだろう。
それなら大丈夫、何も問題ない。
「じゃあ、星華も一緒に来るか」
「うん!」