君からもらった花言葉は。
キブシ

第一話


太陽が輝く雲一つ無い美しい晴天の中。


(ピーンポーン)


(バサッ……ドンッ!!)



「いつまで寝てるの!!
早く起きなさい、彼方くんと真冬くんと優愛ちゃん来てるわよ!!」


時刻は7時40分。
いつもの起床時刻を一時間以上オーバーしてしまった月夜 夢緒は家のチャイムがなると同時に母に無理やりベッドから引っ張りだされ今に至る。

目覚ましはいつの間にかとめたらしく、
意味を成していなかった。

ベッドから落ちた衝撃で頭を打ったのでとても後頭部が痛む。
頭を擦りながら、涙目で着替えていると聞き覚えのある声が聞こえる。

しかも窓の外から。


「夢緒ー?遅れるんだけどー?」


「夢緒、まだー?」


「夢緒ってばーー!」


カーテンを開けると案の定、いつもの幼なじみの三人が私の部屋を見上げていた。


ふわふわとした少しくせっ毛の黒髪で前髪が目を隠すくらいの長さで今にも寝てしまいそうなマイペースな男子が一條 彼方。


灰色のサラサラとした彼方と真逆の髪を持つ明るくて元気な天然男子が相宮 真冬。


黒髪の腰まであるロングヘアをなびかせている友達思いの気が強くてカッコイイ女子が涼空 優愛。


この三人は、私の幼稚園からの幼なじみだった。

優愛は親同士が仲良くて生まれた時から一緒に居るくらいの仲の良さ。
気が弱い内弁慶な私を小学校の頃もずっと引っ張ってくれた。


真冬と彼方はお互いが元々仲が良くて傍から見るとカップル?って言えるくらい厚い仲が出来ているらしい。


そんな二人と出会った話を何となく、思い出してみた。




それは入園式の話だった。

その日も空は綺麗に雲一つ無く晴れていた。


「幼稚園になったらねー夢緒ね、この星に住んでるみんなと友達になるの~!」


夢と希望ばかりを抱いていたあの頃はそんな少し所では無い頓珍漢な事ばかり毎日言っていた。

そんな変わった私をフォローしてくれるのはいつだって優愛だったから、変な事を言っているんだって気付くのがまあまあ遅かった。


「そんなに友達いたらさ、多分夢緒ちゃん凄い人だね。」


…訂正する。流石の優愛も、この頃は同じく少し変わっていたのだ。決して私だけが変な訳では無い。…はずだよね?


事件が起こったのは入園式が終わった後。

両親が入園?の手続きみたいなのをしてる内に私達園児はある一つの部屋に待機していた。


「優愛ちゃん!この本読みたい!」


面白そうな花の本を見つけた私は本を片手に優愛の所へ一目散に飛んでいった。
目の前を通る男の子がいるのにも関わらず………


え?嫌な予感しかしないって?あ、はい。その通りです。


そのまま男の子に突進して行った私は持っていた絵本を男の子の膝に強くぶつけてしまったらしく、案の定膝は怪我をしていた。


「「いったた…っ」」


頭を男の子にぶつけただけの私は少しうずくまったもののすぐに我に返り、自分がしてしまった事に対応が遅れてしまった。


「え?え?大丈夫??うぇ??」


その男の子が誰だったかって言えば、皆もご存知(?)彼方だったんだけど怪我している彼方よりも私の方がパニクっていたというのは気にしないでね。


「え、あ、大丈夫だよ……?これくらい……痛いけど」


後々彼方に聞くとそんな事をちゃんと言っていたらしいけど聞こえてなかったといえば苦笑いしかかえってこないような気がしたのでやめた。


「ふぇ、どうしよう……怪我させちゃったよぉ、誰か助けてよぉ~~うわぁ~んっ!!」


しかもそのままパニクり過ぎた私は彼方を横目に大泣きしてしまった。
その様子に気が付いた先生が駆け寄ってきてひとまず事は収まった……と思いきや。


「そらくんどうしたの?え、そらくん血が出てる!!血が、血が~~!!」


「真冬くん、落ち着いて彼方くんは大丈夫だから!」


近くに居た真冬が事に気が付き、彼方の様子に驚き慌てふためいてしまった。
涙目で今にも泣きそうだった。真冬が。

泣いていた私が人の事は言えないけど、本人は落ち着いているのになんで周りが慌ててパニクっているのか今みると相当滑稽な光景だろうね。


「わぁ~~!!怪我させちゃったよぉ~~!!」

「そらくんが血出てる~~!!わぁ~!!」


大パニックの空間だったけど両親が来て今度こそ事は収まった。


次の日。

泣き腫らした目で初めての楽しみにしてた園は沈んだ気持ちで向かっていた。

でも着いた途端、彼方が私の所に寄ってきた。


「夢緒……ちゃん?昨日はごめんなさい。僕があんなとこにいたからあんなことになっちゃってごめんね。」


私がするはずの謝罪を何故か謝罪者の彼方が黒髪を揺らせて頭を下げていた。

当然のように頭を下げるものだから私も驚きを隠せなくて波に流されて同じように頭を下げた。


「そっ、そんなことないよっ!夢緒が周りみてなかったから悪いもん、彼方くんごめんなさい。」


二人して頭を下げているからなんか可笑しくなって二人で目を合わせて笑った。


「「一緒に遊ぼ!」」


いその成り行きいつの間にか真冬や優愛も仲間に混じって遊ぶようになった。
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