【完】俺の大事な彼氏
第二節
「鷹、…ごめん…!
俺最低だ…!」
「近…」
近が同じ職場の奴に襲われた。
不可抗力。
そう言わざるを得ない程体格差があった。
でもその時から近は俺を見なくなった。
『メリークリスマス!』
近と付き合ってから二回目のクリスマスが来ていた。
そして幸せはすぐに終わりを迎えそうだ。
昔から顔を見れば相手の感情は手に取るようにわかった。
今でもそうだ。
仲のいい奴らを集めて飲んでいるが、
近は一人を見ている。
近を襲った張本人、嵐太(あらた)。
あれから何回も嵐太にアタックされ続け、
近は最近嵐太を気になり始めている。
俺も近に戻って来て欲しくて何回も愛を囁き捧げた。
でももう潮時だろう。
あぁ、俺はいつからこんなにも好きになってしまったんだろう。
俺は近を愛してる。
だから近を嵐太に託す。
今近を笑顔に、幸せに出来るのは俺じゃない。
「なぁ近。俺の事好きか?」
「うん。好きだよ。」
「…それは、人としてだろう?」
「っ…
…うん。」
「…別れよう。」
「ごめん鷹…俺本当に…」
「もう謝るな。
…俺は近が好きだ。
だから最後くらい笑顔で。」
「鷹…、ありがとう…!」
「あぁ。こちらこそありがとう。
…絶対幸せになれよ。」
「うん。ありがとう。」
ピリリリリピリリリリ…
「…はい。」
「…嵐太だ。」
「…何の用?」
「幸せにする。絶対に。」
「あぁ。それは別にどっちでもいい。
近が傷つくようなことがあったら俺の元に戻す。」
「…」
「でも本当に泣かすことがあったら…
俺がお前を殴りに行く。
覚悟しておけ。」
「…ありがとう。」