君だけとトベない~CA達の内緒な休息~



安部と名乗った父親。名刺を受け取ってみると、肩書きはもちろん社長。



安部建設といえば誰でも聞いた事があるだろう。



娘の名前はかなえ。さっきから食事一口の仕草をとってもその動きで根っからのお嬢だと分かる。



堅っ苦しい食事のほとんどはかなえお嬢様からの質問タイムで終わり、俺が伝える本当だか嘘だか分からない言葉にいちいち大きく瞳を開き頷く。



確かにいい女はいい女なんだが……面倒臭そうなオーラを感じるのは俺が底辺の男だからなのか。



と、その時不意に、安部社長が口を開く。



「龍太さん、私としてはかなえに全て任せたいと思っています。君が望む事があれば、出来るだけ叶えたいとも思います」



「……はい」



「だから良い返事をお願いしますね」



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