君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
破棄
このままじゃダメだ……そんな俺を嘲笑うかのように指定された期限の日がやって来る。
「私から説明するから……」
有無を言わせないその言葉にただ頷くしか術は無く
いつものように
「じゃあ行ってくるから」
と腰をくねらせて色っぽい視線を送ってくる理奈にすら、もう会わないんだと告げないまま……その後姿を見送って、俺の仕事は終わりを迎えた。
正式に結婚が決まるまでは住んでいいから……と言われた元仕事部屋は……一人で占有するにはやけに広く感じて。
それと反比例するように仕事が無くなった瞬間、毎日のようにやって来るかなえからの誘い。
今頃、俺が仕事を辞めたと聞いて、理奈は……千里は……何を思っているんだろう。
詩織は……いない事すら気付かないだろうな。
それならそれでいい、のかもしれない。