君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
始動
「よし、じゃあ腕のいいカウンセラーを探しておくからやってみろ」
そう言われた翌日、動きの早い社長の指示で俺はあるオフィスの椅子に座っていた。
淡いクリーム色で統一された室内には、眠くなりそうな音楽が流れている。
そこへ、赤フレームの眼鏡をかけた真面目そうな女が現れた。
「あなたが……電話の東さん?」
少し戸惑った顔はおそらく……こんな今風で軽そうな男がやってくると思わなかったんだろう。
勝手が分からず様子を伺う俺に
「人の心を癒す事は簡単じゃないわ。だけど、真剣に向き合えば必ず伝わるから」
そう言って笑ったその姿は第一印象の冷たさなんて少しも無くて、人に心を開かせるってのはこういう事なのか?といきなり知る。