君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
事の大体を話し終えた俺に
「じゃあマッサージして貰いに行ってくる。龍太じゃなくてプロのお姉さんにね」
そう、可愛い嫌味を言って立ち上がる理奈を見送る為に後ろに続く。
そのまま、ハイヒールに足を通すと一度だけこちらを振り向き……
「心配しなくてもまた来るわよ」
俺はそんなに不安そうな顔をしていたんだろうか?
まるで公園で飼っている子犬に接するように、そう言い残すと姿を消した。
あの笑顔をもう一度見る為に、笑える話を仕込んでおこうなんて思う俺がいて……結局上手に飼い慣らされているのは俺の方らしい。
それすら、不思議と嫌じゃない現実。
俺にとって、理奈にとって、新たな一歩を踏み出した……そんな気がした。
……って事は
こうなってくると、千里の方が厄介、か。
まだまだ終わらない、俺の仕事。千里の帰りは二日後に迫っている。