君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
母親に恋人が出来た時、その恋人と一緒に暮らしたいが為に彼女は家から詩織を追い出した。
目の届かない小さなアパートでずっと暮らしてきたんだと言う。
詩織から受ける幼い印象は、ひょっとしたら愛情を受けず、心が親を求める子供のままだからなのかもしれない。
なんて思うのは、カウンセラーの研修に行ったおかげなのか。
「アルバイトをしながら高校を卒業した私は、自由に空を飛べるCAに憧れて……面接に行ったら身長が足りないのを承知で社長が採用してくれた」
それから先は……俺のよく知る所。
ところがその頃
会社の寮に入る事を決めた詩織が、アパートの解約の件や就職の事を記した手紙を母親へと送っていた。
いくら自分一人で生活をしていたとはいえ、名義人は母親のまま。
それは誰から見ても当然の事……な筈だった。