君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
寂しいのか?
そんな疑問が湧いてくる。
一人で夢を叶える為にこの会社へやって来て……仕事に関しての夢は叶っても、それ以外で満たされない部分があるんじゃないかって。
そう思ったら体が勝手に動いていた。
テレビの電源を落とし、小さく丸まっている背中をそっと抱き締める。
「一人じゃ眠れないから、一緒に寝てもいい?」
詩織の為だと言ったらきっと嫌悪感を抱くだろう。だから、俺のワガママだって思ってくれていいから。
そんな俺の作戦は当たりだったらしい。
「しょうがないなぁ」
こっちを振り返ることは無かったけれど、詩織は少しも抵抗する事なくそのまま眠りについた。
俺は……せめて人の温もりを伝えてやろうと、その背中をずっと朝まで温め続けた。